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第8回介護予防における口腔機能向上研修会


疾患の多様化に対応する口腔ケア −口腔ケアは肺炎予防だけしゃない!−

講師:藤田保健衛生大学 医学部歯科
     松尾浩一郎先生
日時:平成26年2月20日(木) 15:30〜
場所:中区役所ホール
写真の説明を記入します

 介護予防に関する講演会の第8回目として、藤田保健衛生大学の松尾浩一郎先生をお招きし、講演会が開催されました。会場には歯科医師、歯科衛生士等の専門家だけでなく、一般の方々も多数の参加があり会場は盛況でした。
 講演に先立ち、来賓の名古屋市健康福祉局参事の松原史朗氏より挨拶があり、「健康名古屋プラン21」の二次計画についてお話がありました。計画の主旨として平成25年度から34年度までの10年間を期間とし、(1)むし歯と歯周病を減らす。(2)8歳で20本以上の歯を有する人を増やす。(3)生涯を通じて口腔機能の向上と維持の3つを目標として掲げていること等についての説明がありました。本日の研修会のテーマは3つ目の目標にスポットを当てた内容になっておりました。
 続いて名歯会長の小木曽会長より、昨年3月29日に公布された「名古屋市歯と口腔の健康推進つくり条例」についての説明がありました。条例は名古屋市と市民、名古屋市歯科医師会が一体となって、歯と口腔の健康推進に寄与することを目的としており、今回開催した研修会についても、名古屋市行政と名歯の共催による市民参加型であり、条例の趣旨に沿った研修会であること等について述べました。
 講師紹介の後に松尾先生の講演が始まりました。

講演要旨:
 口腔ケアについて、今までは肺炎予防として認知度が高くなっていましたが、これからはよりいろいろな疾患に係っていきます。最近の研究で口腔状態が全身に影響を及ぼしていることが明らかになってきました。(松尾先生の所属している)藤田保健衛生大学医学部歯科では、入院患者さんに特化した治療、対応を行っており、その掲げる目標は、入院患者さんの口腔内の問題をできるだけ早期に発見・対応することです。病院歯科として、他科から依頼をうけて処置を行うという受け身的な対応でなく、自分達から摂食嚥下チーム、栄養サポートチーム、緩和ケアチームといったところに参加することで積極的に早期問題発見するよう取り組んでいます。その結果として、他科の先生やスタッフにも口腔に関心を持つってくれるようになるメリットも得られています。
 全身疾患の中で主な死亡要因に挙げられる、1位から3位までの疾患患者の口腔への関与について解説します。死因1位のガンについて、その患者さんの口腔管理の意義として、主には@口腔由来の全身合併症予防、A化学療法による口腔合併症予防、B緩和ケア(疾患進行による口腔合併症予防)の3つが挙げられます。口腔由来の合併症には誤嚥性肺炎があり、ガンの周術期の目的については、あくまで術後肺炎の予防が中心となります。術後肺炎に関する研究として、食道がん患者において術前ブラッシングにより術後肺炎のリスクを低減できる、1日5回歯ブラシをすることで、術後肺炎が32%から9%までに低下したという結果についての報告がありました。
また化学療法を受けている患者さんに対しては、口腔粘膜炎予防と口腔乾燥によるう蝕と歯周炎憎悪予防が目的となり、粘膜炎予防のための治療開始前からの介入および治療後の口腔乾燥症、放射線性骨髄炎の考慮がポイントとなります。緩和ケアを受けている方には経口摂取維持のサポートが目的となり、摂食機能の維持・向上・苦痛を除去することで食べる喜びを無くさないことが重要となります。
 第2位の心疾患については、感染性心内膜炎および術後肺炎の予防が目的となり、日本循環器学会ガイドラインに準拠します。心内膜炎は抜歯による一過性の菌血症でも発症し、歯ブラシなど日常活動によって蓄積された菌血症もリスクファクターと考えられるようになってきており、IE予防に観血的処置前の抗菌薬予防投与だけでなく、口腔衛生指導が重要となります。虚血性心疾患では歯周病が虚血性心疾患と関連し、因果関係は不明ですが歯周病患者では虚血性心疾患のリスクが1.15から1.34倍となるという報告があります。
 第3位の肺炎は、今までは市中肺炎と院内肺炎に加えて、新たに医療・介護関連肺炎(NHCAP)というカテゴリーができました。NHCAP患者の入院症例の殆どは誤嚥性肺炎と言われています。肺炎になったら抗菌剤の治療しかありませんが、その予防には誤嚥を量的に減らす嚥下リハビリと誤嚥の質を改善する口腔ケアが重要です。量的に減らすという意味は、摂食嚥下リハ後に評価し、その人にあった食べ物や姿勢をみつけてあげる。それから食べる訓練ができれば行い、安心な食べ物を適切な姿勢で食べるということです。また誤嚥の質を改善するとは、唾液と一緒に口腔内の病原菌を誤嚥すると肺炎になるので、口腔ケアをしてできるだけ(病原菌を)咽頭に行かないようにするということです。この二つが口腔ケアの柱です。
 口腔ケアをしなければならない原因は何なのか把握して、アプローチすることが院内歯科の努めです。口から食べるということはQOLにとっても、人生の楽しみとしても最後の重要な問題です。我々、歯科医療関係者は口腔衛生状態の低下を予防し、機能回復に携わることへのアプローチが大切と思います。

講演会後の質疑応答では、歯科など医療従事者や一般の方を問わず、多くの方々の質問がありました。いずれもその内容は切実に感じられ、現場に携わるケアをする側としての、あるいはそのケアを受ける当事者にしか分からない悩みや心配事に関することでした。松尾先生はそれぞれの質問について、具体的に分かりやすく説明されていました。








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